タバコをやめた後にやってくる?禁煙うつ病かもしれない症状3パターン
禁煙をする際、ほとんどの方は離脱症状に悩まされますが、時間と共に症状が落ち着くのが一般的です。しかし禁煙後も長く気分が優れず、「禁煙うつ病」と呼ばれる症状に悩まされる方がいます。今回は、禁煙うつ病が疑われる3つの症状をご紹介します。
やる気が起きず物事に対する興味を失う「抑うつ症状」
本来のうつ病の症状は、ドーパミンやセロトニンなどの神経伝達物質のバランスが崩れることや、不規則な生活習慣によって体内時計が乱れることが原因とされています。
禁煙うつ病の場合も、急激なニコチン不足によって神経伝達物質のバランスが崩れ、脳内で上手く感情のコントロールができなくなるために、何に対してもやる気が起きず気分が落ち込む抑うつ症状を引き起こします。物事への興味や関心が減り、喜びなどの感情表現が上手くできなくなる症状が見られるケースもあります。
ニコチン不足によるセロトニンの分泌異常はおよそ1カ月以内に正常に戻ると言われています。禁煙うつ病とうつ病は厳密には異なり、禁煙による禁断症状の延長にうつ病に似た症状が出るというものですので、特に治療をしなくても自然と治ることが一般的です。
睡眠リズムの乱れに伴う「疲労感・気力減退」
禁煙うつ病は気分の落ち込みなどを伴うため生活習慣が乱れやすいですが、その中でも特に深刻な影響を受けるのが睡眠です。神経の乱れや不安感などにより上手く眠れなかったり、逆にどれだけ寝ても常に眠かったり、不眠や過眠の症状に悩まされる場合があります。
その結果、疲労や眠気で頭がボーッとしたり、仕事に集中できずミスにつながったり、生活全体に影響します。こうした状況が続くことで徐々に気力も失われていき、思考力・判断力の低下が起きる場合もあります。
しかし、禁煙うつ病である限り、あくまで一時的な症状のため、必要以上に不安に思うことはありません。生活に支障が出るようであれば、まずは禁煙外来に相談してみましょう。
拭えない心配や不安に陥る「否定的思考」
禁煙うつ病になるとイライラしやすく、生活が思うようにいかず、気分や意欲が落ち込むため、否定的に物事を捉えがちになります。悲観や被害妄想など、ネガティブな思考パターンに陥りやすくなるのです。
一般的な症状の例としては、憂鬱な気分になる、理由の分からない恐怖感を覚える、突然強い焦燥感に駆られる、落ち着かず常にイライラする、などがあります。
焦る気持ちとは裏腹に、物事に対して意欲を持てず無気力な状態が続き、外出を避け引きこもることもあるようです。それまで楽しんでいた趣味や娯楽に興味を抱かなくなるなど、行動パターンに変化が現れるケースもあります。
気分転換ができずストレスを発散できないためうつ症状の悪化につながる場合があります。1~3カ月ほど経っても症状が改善しない場合は、本当のうつ病の疑いもあるため、心療内科を受診しましょう。医療機関で正しく対処することが症状の早期改善につながります。
おわりに
2015年に英国心臓財団(BHF)が発表した調査結果によると、喫煙者がうつ病や不安障害になるリスクは非喫煙者の約1.7倍とされています。長年の喫煙者であっても、禁煙後は非喫煙者と同じ程度のリスクに下がるとも報告されています。
禁煙うつ病について知らない方は「禁煙のせいで体調が悪くなった」と誤解する場合があるでしょう。しかし、喫煙は一瞬のリラックスと引き換えに、健康に関するさまざまなトラブルや禁断症状を引き起こす数多くの有害物質をもたらします。
禁煙によって一時的に体内のバランスが崩れはしますが、それはむしろタバコを必要としない正常な状態に体が戻ろうとしている証です。喫煙の代償だと割り切って、あまり深刻にならずに向き合うと良いでしょう。
最も避けなくてはならないのは、辛さから逃げるようにタバコに頼ることです。本当に辛い場合は、禁煙外来や心療内科を利用し、喫煙以外の解決策を求めましょう。禁煙達成まで、あと一歩の踏ん張りどころです。
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